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この話は私が兄から聞いた不思議で少し怖い体験談です。
兄が中学2年生の夏のことです。
その年は非常に熱く、照付ける太陽は容赦なくアスファルトを焼いていたのを憶えています。
私達家族にとっては常夏の島に引っ越して初めての夏で、本州とは違う夏の暑さに参っていました。
夏休みに入ると兄と私は母の勧めでサマーキャンプなるイベントに参加しました。
中学生の兄の参加日程は、小学生の私とは違い8月の中旬からでした。
基本的にインドア派の兄はサマーキャンプに参加するのが嫌な様子で、ブーブーと文句を言いながら家を出たのを憶えています。
なんだかんだと言いながらも兄はサマーキャンプを楽しんでいたようで、家に帰って来た時には真っ黒に日焼けして南洋系の人みたいになっていました。
しかし、「また来年も行く?」と母に問われた兄は「もう絶対に行かん」と拒否しました。
私はテントで寝れて、バーベキューやキャンプファイア等のイベントが盛りだくさん、しかも海で力いっぱい遊べるサマーキャンプが楽しくて「絶対に行かない」と言った兄の言葉に疑問を持ちました。
そして、次の年。
兄はとうとうサマーキャンプに参加しませんでした。
不参加理由は「受験生だから」ということでしたが、実はそれ以外にも理由があったのです。
ある日のこと。
両親が寝静まった後、兄はいつものように家を抜け出しポテトスナックとクリームソーダを買ってきてくれました。
そして、それを食べながら兄は去年のサマーキャンプで兄が体験した不思議で恐ろしい体験を話してくれました。
去年のサマーキャンプの時。と、兄は静かに語り始めました。
兄の名はミツナリ(仮名)といいます。
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