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ミツナリの参加するサマーキャンプは8月10日から8月16日までの4泊5日の日程で、幸い雨が降る事もなく、多少めんどくさいイベントをこなしながらも滞りなく日程を消化していった。
そして、8月14日の夜。
その夜は熱帯夜で特に寝苦しかった。
米軍払い下げの大型のテントの中はムシムシとして、横になっているだけでジワリと汗ばんでくる。
風を通すために両側の入口は開けてあるが、その日は全く風もなくテント内には蚊取り線香の香りが充満していた。
それでも他の参加者達は昼間の疲れからか、既に寝息を立てていた。
普段、完全インドアで空調慣れしまくっているミツナリだったが、4日目となると身体もクーラーのない生活にだいぶ馴染んできていた。
だが、今夜の暑さは異常だ。
(よく寝れるな)
テント内に響く寝息やイビキを羨ましく思いながら、ミツナリは何度目かの寝返りをうった。
腕時計に緑色の光を灯すとデジタル表示は0時を少し回った事を教えてくれた。
明日はキャンプファイアの準備で近くの山に行く事になっている。早く睡眠に入らなければ体力が持たない。とりあえず目を閉じて他愛もない想像や考え事をしていれば眠くなるだろう。
そう思いながらもう一度寝返りをうってミツナリは目を閉じた。
どれぐらいの時間が経っただろう。
ミツナリは寒さで目を覚ました。時計を見ると3時半を過ぎていた。
(寒い・・・トイレ行きたいな)
周囲の人を起こさないようにドラムバッグからジャージを引張り出し、テントを出ようとトイレに近い方の出入口へと向かう。
開け放たれた入口からは冷たい夜の空気が流れ込んでいた。
ジャージのチャックを上げながら、テントの外へ出るとトイレのある管理棟へと足早に向かい用を足した。
ホッと一息ついて、テントへ帰ろうとしたとミツナリは周囲が静かなのに気付いた。
(虫の声がしない)
空を見上げると満天の星が瞬いていた。季節は夏のはずなのに星が異様なほどにハッキリと見える。
冷たい風が頬をフッと撫でた。
ミツナリはブルッと身震いすると、小走りにテントへと戻った。
入口に入りかけたとき、広場の方に妙な違和感を覚え振り返った。
すると、広場の中央に煙の様なモノが立上っているのが見えた。
ひとつだけではない、ざっと見ただけでも10本以上はある。
(何だ、あれ?)
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