ボクは海が好きだった…

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「では、陸地まで海亀に送らせましょう」 「ありがとう御座います」  ボクは例の海亀に乗り、海姫に見送られて海姫城を後にした。  来た時と同様に、今度はどんどん海中を昇っていった。  そして、なつかしい浜辺に到着したボクは、送ってくれた海亀に礼を言って別れた。  すぐに大きな岩の陰に入ると、背中を確認した。  すると、なぜかジャケットが裂(さ)けていて、風呂敷と共に美しい笛は無くなっていた。 「チェッ、途中で裂けて落ちたか……」  しょんぼりと小さな岩場に座ると、ボクはポケットから例の箱を出した。
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