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「さあ、始まりました。第27回超無差別級プロレスリング大会! その決勝戦が行われようとしています!  実況はわたくし、新館一郎。解説はプロレス好きだけど及び腰で有名な山田さんです。山田さん、よろしくお願いします」 「はい、よろしくお願いします」 「さて、間もなくあの惑星では一番熱いであろう戦いが始まろうとしております。辺境の辺鄙な惑星ではありますが、ここから始まる男と男の熾烈を極める戦いは間違いなく全宇宙を燃えあがらせてくれるでしょう! 私もとても楽しみにしております!」 「ええ、とても楽しみですね」 「さて、さっそくではありますが、入場された選手を紹介いたしましょう。まず先に登場したのは誰もが知るナイスガイ、ゴツイ顔には良く似合う煮えたぎったマグマを噴き出す熱い野郎! こいつの硬さにゃ敵わない、"陸"選手だああーっ!」 「いやー、今日も一段と燃えていますねぇ」 「そしてこちらは挑戦者、燃える陸に対してこちらは冷たいクールガイだ。流れる体は千変万化、全ての水を支配する最強の支配者! 青い顔がちょーイカス"海"選手だああーっ! って、あれ? おかしいですね。海選手の姿がまだ見えません。どうしたことでしょう?」 「おかしいですねぇ。すでに入場しているはずなんですが」 「海選手の姿がまるで見えません。陸選手が試合会場に一人、デンと我が物顔で佇んでおります。鳴りやまぬ雷鳴は陸選手の心情を表しているのか、それとも噴き出すマグマが彼の熱い魂を燃えあがらせているのか。何も言わずその場にいるだけなのに、陸選手の威圧感は物凄いと言わざるを得ません」 「いやー、怖いですねぇ。並みの人間なら彼の前では生きていけませんねぇ」 「そうですねぇ。そしてそんな陸選手に恐れを為したのか、海選手、全く姿を現しません。気持ちはわかるがこのままでは試合のゴングが鳴ってしまいます。選手不在のまま試合が始まってしまえば、不戦勝で陸選手の勝利という形になってしまいますが……」 「それは面白くないですねぇ」 「ええ、さて、そろそろ試合が始まりそうなのですが……お、おお? これは凄いことが起こった! びっくりだ! みなさん、見えているでしょうか!?」
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