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結
「これもまた泥仕合になってきましたねぇ」
「ええ、冷戦が如き静かな謀略の渦が陸選手を中心に繰り広げられております。その間静かに海選手が勢力を広げており、現在7:3でかなり有利な立ち位置を得たようです。これは海選手の勝ちがかなり見えてきましたね。ちなみにどちらかが10割に達した時点で勝敗が決したものとみなされます。これからの試合の推移に期待ですね」
「ええ、ですがなかなか事態が進展しませんね」
「はい、全く変化がありません。最初の20億年は一体何だったのか、そう言わざるを得ないくらい静かな戦いが続いております。これには思わず観客も苦笑い。熱い戦いを求めていらっしゃった方々にとってはとても見ごたえがない場面でしょう」
「番組だったらカットされてるかもしれませんねぇ」
「はい、まったく試合が動かなくなり、一部観客からはブーイングも上がっております。これは我々もどうしたものかと、見守っておりますが……ん、今何か見えましたか?」
「え、いや何も見えま……お、なんだこれ?」
「な、なんだこれ、なんですかこれは! 全く意味が解りません。何が起きたかわかりませんが、急激に陸選手に変化が表れております!」
「なんでしょうか。アップの画像が見たいですね」
「では試合会場に視点を寄せてみましょう。これは……なんでしょうか。陸選手の表面に二本足で歩く肌色の変な生き物がいるようですが……」
「最初は凄く少なかったみたいですが、急激に増えていきましたね」
「はい、わずか10万年で陸選手全体を覆うほどこの謎の生き物が支配権を広げています。そして……あ、陸選手の防御策であった緑がどんどん駆られています! これはムゴい、どんどん地表が丸出しになっていきます!」
「しかもよく見ると、砂漠になった部分も増えてますし、変な煙も出ているようですよ?」
「まさか海選手の謀略がこんな炸裂の仕方をするとは、夢にも思っていませんでした! ではここで海選手が一転攻勢を仕掛けるか!? あ、あれ。これは、ご覧ください!」
「あー、海選手もまずいですねぇ」
「海選手もこの謎の肌色生物の攻撃を受けています! 綺麗な青だった海選手が、一部だけですが、緑になったり赤になったり黒くなったりしています! これは悲しい! 海選手が生み出した生き物が海選手にも悪影響を与えています! まさに策士策に溺れる!」
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