●エピローグ●

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「せやけど、みなはええんか? 俺の足……」 「だから、リキ兄は気が早いんだってば。秀ちゃんに振られなかったら無理だって言ったでしょ」  私はケラケラと笑って、倒れてしまった車椅子を起こした。 「なんや、おまえ。人の家庭を壊す気なんか?」 「そんなの、秀ちゃん次第だからわかんない」  私が車椅子を支えていると、力也が腕を使って後ろ向きで座って、「ほな、麗があのウチから追い出されるんやな」と笑った。 「えっ、うららちゃんを不幸にしないで! 秀ちゃんが追い出されるかもしれないじゃん」  そんな意味のない言い合いをしながら、私たちは教会の門へ向かった。  今日も力也の髪は太陽の光でより艶やかに輝いて、綺麗な天使の輪が出来ていた。 「秀一がOKしよったら、麗の不幸はおまえのせいやろ。嫌なら、俺と結婚やな」 「じゃあ……こっちで美容師の専門学校でも探そうかな」  私は静かな口調で笑って、力也の様子を窺うように顔を見た。力也もこちらをチラリと見ると「ええんちゃう」と静かに微笑んだ。 「せやけど、他にやりたいことないか考えなあかん」 「うーん、今は美容院でもエステとかアロママッサージとか、ネイルやメイクも出来たりするよね。そういう方面で広く検討してみようかな」  普通に結婚後の話をしているのがくすぐったくて、私はくすくすと笑った。 「だけど、タケル君は反対だって、リキ兄ちゃんと付き合うの」 「……そうなんかな。この教会に行けって猛先生に言われてんや。みながおるのは言わへんかったけど」 「えっ?」  私は思わず立ち止まった。
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