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「指輪はもらってください。その指輪は美紘さんにしか似合わないから。いらなくなったら捨ててもいいです」
「捨てたりなんかしません。男の人に指輪なんていただいたのはじめてなんです。嬉しかった。一生大事にします」
「それは、ダメですよ。いつか、また、新しい指輪を買ってくれる人をちゃんと探さなきゃ」
「できないって知っているくせに、意地悪ですね」
誰かの幸せを願うって、こういう気持ちなんだなと分かる。案外と心地よい。嫉妬したり、羨んだりするより、ずっと安らかだ。
全部、美紘のおかげだと思った。母親のような気持ちで、こうして抱きしめてくれる、美紘のおかげだと思った。
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