#09

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 すぐさま、倒れた男に「大丈夫ですか?」と声をかけ抱き起こす。 「どうした? 何やってる?」 「この男は、妻をつけまわしているストーカーです」  驚いた顔をするが、水口はすぐに察してくれたようだった。 「分かった、警察に連絡しよう」  その言葉を聞いたとたん、男が逃げ出そうとした。すぐに腕を伸ばすがすり抜けられてしまった。 「神谷、追うな!」  飛び出そうとしたところを、引き止められた。 「あ、もしもし、ストーカーが、ええと、矢島建設の……、ちょ、神谷、代わって、警察の人」  無理やり水口がスマートフォンを押しつけてくる。  警察には事情を説明したが、どうしようもなかった。写真を見せられただけで、まだお金を要求されたわけではないのだ。  やっかいだな、と思う。まだ、何か企んでいるかもしれない。 「奥さんには連絡しておいたほうがいいんじゃねえの?」  そう水口に言われ、はっとした。  放課後まで少し時間がある。美紘は電話には出られない。メッセージを送っておくことにした。 「おい、神谷、大丈夫か?」 「あ、はい」  お前らしくないな、と言われる。そうかもしれない、確かに動揺はしている。 「ああいう変な奴、追いかけたりすんなよ。危ないだろーが」  その通りだ、止めてもらって助かった。     
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