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すぐさま、倒れた男に「大丈夫ですか?」と声をかけ抱き起こす。
「どうした? 何やってる?」
「この男は、妻をつけまわしているストーカーです」
驚いた顔をするが、水口はすぐに察してくれたようだった。
「分かった、警察に連絡しよう」
その言葉を聞いたとたん、男が逃げ出そうとした。すぐに腕を伸ばすがすり抜けられてしまった。
「神谷、追うな!」
飛び出そうとしたところを、引き止められた。
「あ、もしもし、ストーカーが、ええと、矢島建設の……、ちょ、神谷、代わって、警察の人」
無理やり水口がスマートフォンを押しつけてくる。
警察には事情を説明したが、どうしようもなかった。写真を見せられただけで、まだお金を要求されたわけではないのだ。
やっかいだな、と思う。まだ、何か企んでいるかもしれない。
「奥さんには連絡しておいたほうがいいんじゃねえの?」
そう水口に言われ、はっとした。
放課後まで少し時間がある。美紘は電話には出られない。メッセージを送っておくことにした。
「おい、神谷、大丈夫か?」
「あ、はい」
お前らしくないな、と言われる。そうかもしれない、確かに動揺はしている。
「ああいう変な奴、追いかけたりすんなよ。危ないだろーが」
その通りだ、止めてもらって助かった。
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