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前の日、疲れて早くに眠ってしまったので、そのメッセージに気づいたのは学校へ向かう朝の電車の中だった。
『助けてほしい。美紘しかいない。明日、部屋に来て』
健太郎からのメッセージ。
何を意図しているのか分からない、健太郎らしくない内容だ。
とにかく仕事が終わったら連絡してみよう。
放課後、今度は樹からメッセージが届いていた。
『例のストーカーが会社に来ました。美紘さんも狙われているかもしれない。危険です。一人にならないで』
翼くんのお父さんが、樹の会社に?
健太郎からのメッセージもこのことと関係があるのだろうか?
だとしたら、健太郎のことが心配だ。会わないと決めていたけれど仕方がない。樹に悪いと思ったが健太郎に会いに行くとメッセージしてしまった。いつまでもぐずぐずした女だと、あきらめの悪い女だと、また思われてしまったかもしれない。
本当は、樹にだけは分かってほしかった。もう、そういう気持ちは無いのだと。恋は終わってしまったのだと。だけど、伝えることなんかできない。そんなことを伝えたところで、樹だって、きっと困る。
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