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「だから、それが私のことでもあるんですってば」
「これじゃ、契約した意味がない」
「ありますよ、じゅうぶんに。私、母親のような気持ちなんです。樹さんを幸せにしたいって、母親が子供を思うのと同じ気持ちで言っています」
この人、本気でそんなことを思っているのか? だとしたら、頭がおかしい。
「美紘さん、そういうふわっとしたものの考え方、もうやめたらどうですか。あなた三十歳なんですよ? それに、教師なんでしょう? そんなんだからストーカーに狙われたり、佐竹とかいうチンピラみたいなのにつけいられるんですよ」
ぶはははははっ!
美紘が大笑いしている。
「チンピラって、ウケる。そうですね、その通りです。あいつ、ダサっ」
すっかり話をする気力が失せた。
俺の幸せって、なんだよ。
母親の気持ちって、なんだよ。
まったく調子が狂う。嫌な汗がでる。頭がぼうっとしてきた。
とにかく子供を作ろう。
そうすれば俺から気がそれるんじゃないか。
すぐにだっていい、もう、今夜、抱いてしまおう。
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