#08

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*  カーテンのすき間から漏れる燦々(さんさん)とした光に、ドキリとして時計を見る。昼過ぎまで寝ていたなんて。ただし日曜日だと分かっている、慌てる必要はない。  体が軽くなっていた。薬が効いたのだろう、熱も下がっている。  喉が渇いていたので、部屋を出てキッチンへ向かった。人の気配がどこにも無い。美紘は出かけたのだろうか。  ダイニングテーブルの上に、メモがあった。 ――買い物に行きます。キッチンの鍋におかゆがあります。冷蔵庫のゼリーもどうぞ。  よたよたとした字が並んでいる。あまりにもひどすぎる字だ。小学校の教師だというのに、こんな字しか書けないのか。  添えてある絵はまあまあだった。少しいびつだが、ネコだと一応分かる。どうしてネコが笑っているのかは謎だ。  とにかく、帰ってきたらお礼を言おう。余裕が無かったとはいえ、一緒に暮らす相手にあの態度はなかったかもしれない。  すると。リビングに置きっぱなしだったスマートフォンが鳴った。メッセージの着信を知らせる音だ。美紘からなのかもしれない、と画面を開く。 『診察券、返してください』  真由子が、しかけてきた。  めんどうだと言ったのに、しつこい。     
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