0人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしの職場は地下鉄の食堂車。
仕事はもちろん接客と調理。
「へーい大将、やってるー?」
常連客のひとり、サブリナが乗り込んできた。
ん? サブリナさん、人間なのに触覚が2本生えてる。
触覚は2本とも先端がまん丸の目玉だ。
そして前髪が長くて本来の目元を隠している。
「ヨォ、店長。オレ様も来てやったゼ。オムライス食わせろヨ」
でっかくて輝いている綿帽子も乗り込んできた。
あ、いや、綿帽子さんは宙をふわふわ飛んでいた。
なんですか、このファンタジー全開な方々は。
「い、いらっしゃいませ」
わたしはちょっとびくつきながらあいさつした。
「びっくりした? 錬金術の実験で失敗しちゃってさー。あたしはこんなすごいことになっちゃうし、弟子は弟子でケサランパサランになっちゃうし」
サブリナはアハハと笑った。
綿帽子さんはお弟子さんでしたか。
それはさておき、この食堂車が、というより、この路線そのものがファンタジー世界につながっている。
最初のコメントを投稿しよう!