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「地下鉄に乗ってご飯食べるのって、すごいファンタジーだよねー」
サブリナはまだ笑っている。
いや、あんたたちの方がファンタジーですから。
わたしが水とおしぼり、メニュー表を出すと、綿帽子いやお弟子さんが寄ってきた。
「なー、このメニュー、字ばっかりでつまんねーな。もっと写真とかイラストとかをババーンと貼って派手にしろヨ」
綿帽子が生意気なことを言ってくれる。
「そうしたいのはやまやまなんだけど、絵心がなくて」
わたしは言ってて恥ずかしかった。
「絵くらい描いてあげるよ。ほら」
サブリナが自慢げにノートを出す。
写真と見まがうほど緻密な料理の絵。
「さ、採用! あ、でもメニュー全部の絵を描くのは無理なんじゃ──」
わたしが言いかけると、
「オムライスにハンバーグ、デザートにはパフェを報酬にしてくれたら、全品描いてやるゼ! 師匠がナ!!」
お弟子さん、ちゃっかりしてるわ。
師匠であるサブリナも苦笑いしながらうなずいている。
しかし、問題がひとつある。
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