天国に一番近い海

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バスの窓から見えた南国のような美しい海辺を、リゾート地のように、多くの人が、かっぽしている。家族づれが多い。出店も、たくさんある。 なんだか笑っちゃうほど俗っぽい。 なんというか、バスのなかから見たときは、もっと神秘的な海を期待してたのに。 でも、こういうのも楽しい。 ひさしぶりに、祖父と、いろんな話に花が咲いた。 「あっ、じいちゃん! あれ、なんなの?」 「おお、あれかぁ」 砂浜まで歩いていくと、いやにスゴイ人だかりだ。 美しいマリンブルーの海から、コロコロと何かが次々に打ちあげられてくる。 大波小波が打ちよせるたびに、波間から、ころがり出てくるのだ。 みんな、それを大喜びで追いかけて、集めていた。 「うん。あれか? あれは、うまいぞ」 ウマイのか! たしかに、ひろった人たちは、それを七輪で焼いていた。 よく見ると、ウニだ。バフンウニ。 だが、並みのサイズじゃない。 普通サイズの十倍……いや、二十倍はデカイのか? ものによっては、風呂屋のタライくらいにデカイ。 「かーくんも欲しいか?」 「うん。欲しい!」 「じゃあ、つかまえよう。好きなだけ食べてもタダなんだぞ」 「わーい!」 僕は子どもみたいに無邪気にウニを追いかけまわす。 だが、こいつ、意外と、すばやく、なかなか捕まえられない。 そのとき、アレが来た。 (あ、ヤバイ。もうすぐ、目がさめるぞ)     
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