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「ええ。同席させていただきます」
「ありがとう、助かるよ。午後に出れば間に合うのだけど…… どうだい?昼でも一緒に」
俺の価値は昼飯1回分か。まぁ、いいけど。
「喜んで。ありがとうございます」
やれやれ…… 明日もスーツで出社しなければいけないのか。
知り合いからの資料を作成して、いつもの指定フォルダーへ保存する。
それほど急ぎの資料ではない。依頼主には今日の夜に会うので、その時に保存した旨を伝えればいいだろう。あとは、朝アップデートしたグラフを眺めて終業のチャイムを待つ……
「お先に失礼します」
鞄を背負って席を離れても、誰からも返事はない。決して事務所が無人と言うわけではない。朝とまったく同じ状況。毎度のことなので気にすることもなく、俺は事務所を後にする。
毎週、月曜の夜。俺はとある団体の「懇談会」のために事前に指定された場所へと向かう。なので、月曜日はいつもスーツを着て出勤している。
懇談会とは名ばかりで、ちょっとしたディナーパーティーである。所属する会員達がそれぞれの近況や意見を交える…… と言う意味では「懇談会」で間違いないか。
今日は確か、海に近い高層ホテルの最上階にあるイタリアンレストランだ。毎週行っているこの集まりにしては、今夜はちょっとカジュアル風なのだろうか。
地下鉄を乗り継いでホテルに到着。そして最上階へのエレベーターに乗る。
えっと…… 今日の会場の店は…… 最上階の薄暗いフロアを迷いながら歩く。やがて先週貰った案内状に記してあった店の名前を見つけ、ホッと安堵。
「あぁ!桐島さん。こんばんは」
いつも受付をしてくれている、フェロモンプンプンの女性が俺に笑顔を向ける。
「こんばんは。えっと…… 会員証……」
斜めに下げた通勤用の鞄を前に向け、この会の会員証を探すために手を入れる。
「…… あ、間違えた。これ、会社のIDカードだ」
「もぅ。桐島さんったら。大丈夫ですよ、桐島さんですもの。顔パス、顔パス」
「そう?ありがと。じゃあ、お言葉に甘えて」
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