あしおと

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トシの結婚式をいよいよ翌週に控えた10月1週目の土曜日の晩、僕ら5人は 馴染みの居酒屋・お多福に集まった。 ケン、加藤、高田、僕、そしてもう1人はトシ、ではなく、トシの双子の弟のトモである。僕らとクラスは違ったが、コイツももちろん、同じ中学だ。 この日集まった目的は、余興の最終的な打ち合わせである。 余興でエッサッサをやる事はすでに決まっていて、この事は新郎のトシも知っているのだが、実はここに、ある"仕掛け"を僕らは用意していた。 まず、エッサッサを僕らと一緒にトシにも無理やりやらせる。友人たちの余興に新郎が参加させられるというのは、結婚披露宴では言わばお約束でよくある光景だが、僕らの仕掛けというのは、ここで空席となる新婦の隣に、新郎と全く同じ衣装を着させた双子の弟を座らせる、というものであった。 「おい、トモ!トシと同じ服は用意できたか?」 「おう、バッチリだ。しかしお前ら、よくこんなバカバカしい事思いつくよな」 あきれ顔ながら、トモもノリノリである。
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