あしおと

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加藤が部屋の異変に気付いたのは1ヶ月ほど前で、ケンが泊まっていった数日後だという。 「最初は気のせいだと思ったんだ…。でも夜中に人が歩き回る足音と、枕元でじっと見られてるような気配で、何度も目が覚めて…」 その頻度も、初めのうちは1週間に1回くらいだったものが、3日に1回になり、1日おきになり、今では毎日だという。 「なんでもっと早く言わなかったんだよ」 泣きべそをかいている加藤に、僕は言った。 「せっかく引っ越し手伝ってもらったのに、こんな事言ったら、みんなに悪いと思って」 この男、律儀なのにもほどがある。 しかし、さすがの加藤も、もうあの家には帰りたくないと言い出した。 「よし、今日はお前らみんな、ウチに泊まれ」 全員を見回しながら、僕は言った。 「で、夜はコワイから、明日の真っ昼間にみんなで加藤の家に行ってみようぜ」
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