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翌日、僕ら5人はケンのクルマで、僕の家から加藤の家へ向かった。
車内の空気は、何となく重かった。普段おチャラけたケンまでが、今日は神妙な面持ちでハンドルを握っている。
みんなの気分を盛り上げようと、助手席の僕は運転席と後部座席に向かって言った。
「俺が加藤の部屋からオバケを引きずり出してやる!」
この言葉、今にして思えば、数時間後に現実のものとなる。
道がやや混んでいたため、加藤の家まで1時間以上かかった。僕にとっては、あの引っ越しの日以来の訪問である。
加藤が解錠し、玄関のドアを開けた。
みんな何となく躊躇しているので、家主を差し置いて、僕は先頭で中に入った。
真っ昼間で、しかもカーテンも閉めていないのに、室内はなぜか薄暗い。そして、何となくどんよりとした、重苦しい空気が流れている。
引っ越しの時は、まったく感じなかった事だった。
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