22人が本棚に入れています
本棚に追加
『御乗車有難うございました。終点、合歓木、合歓木です。お忘れもののないようにお降り下さい………』
ドアが開くと同時に男の子が、駆け出していった。お母さんが必死で呼び掛けているけど聞いちゃいない。
僕もあんなだったんだろうか。
クス、と笑いが零れる。
僕はゆっくりと席を立った。
プラットホームの欄干から大きな川が見える。
山に向かうほうには川に掛かる橋が銀色に煌めいている。
川向こうの土手には桜並木。春は綺麗だろうな。
そして駅の横手。
桜並木はないけれど、河川敷に大きな木が我が物顔に枝を広げている。
スマホを出して、カメラモードに切り替えて拡大してみる。
最初のコメントを投稿しよう!