the underground(地下鉄)

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またやっちまった。 何度目かのため息。 ここに、かれこれ1時間。 僕は地下鉄構内の、端の端の壁際に並べられたプラスティックのベンチに座っている。 後悔、恥ずかしさがリピート状態。 『やっちまったもんは仕方がない』 先輩方はそう言って慰めてくれるものの………どうだか。 腹の中では、ばっかじゃねえ?イナカモンが、どんだけコケりゃ覚えるんだとあざ笑っているんじゃないのかな。 感情が胃の中でぐるぐるして吐きそうだ。 ピーーーッ 『電車が参ります、白線までお下がりください』 目の前を、何本の銀色の車両が走り抜けて行っただろう。 右へ左へ何本も何本も。あっちとこっち。分離帯を挟んで右左。 皆、僕みたいにじっとしてなんかいない。 さっさと地下鉄に乗って消えていく。 そりゃそうだ。 地下鉄は移動手段。駅は待合。 喫茶店でも図書館でもない。 だけど動けない。 今日の失態がまた脳内で再生される。
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