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そして日曜日。
私は早起きして車に乗り込みました。まだ新車の匂いが残っていて、お見舞いに行くというのに、少しだけ気分が高揚していました。
道中、峠を超えなければいけません。以前のオンボロ車だと不安だったのですが、新車が不安を払拭してくれました。
カーナビの指示に従いながら、ようやく病院に到着した時、私の体には相当な疲労が蓄積されていました。途中で一度も休まずに運転するのは、2時間が限界だなと、その時に思ったくらいです。
病院の駐車場に車を止めて、病室に向かいました。
叔母は既にモルヒネを打たれていると母から聞かされていたので、昔のように会話はできないと覚悟はしていたのですが、病室に入ると叔母は眠っていました。
会話どころではありません。
はるばる3時間かけて来たのに、何も話をしないで帰るのは嫌だったのですが、眠っている叔母を無理やり起こすのは気が引けました。
一度外に出てご飯でも食べてから戻ってこよう。私はそう思い、叔母に背中を向けて病室を出ようとした時でした。
「よく来たね」叔母が小さな声で話しかけてきたのです。
「え?」私は驚いて振り返りました。
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