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叔母は目を半開きにしながら、優しく微笑んでいました。
「ごめん、起こしちゃった?」私はペコリと謝りました。
「・・・・・・ううん。起きてたよ」
「え? 起きてたの?」私の目には寝ているようにしか見えなかったのですが、目を閉じていただけだったのかもしれません。
「寝てたけど、起きてた」
「・・・・・・」私はなんて返事をしていいのか、分からなくなっていました。モルヒネのせいで意識がもうろうとしているのかもしれないからです。
「今ね、おとうさんの様子を見てきたの」
「叔父さんの様子?」
「うん。あの人、1人じゃ何もできない人だから、心配で。お昼にちゃんとご飯を食べているのか、見てきたの」
「そうなんだ・・・・・・」私はとりあえず、話を合わせることにしました。
「ちゃんと1人でご飯を食べていたから安心したわ・・・・・・でも不思議なのよね。あの人、梅干しなんて食べないのに、食卓に梅干しがあったの・・・・・・誰かからもらったのかしら。お弁当に乗っている小さな梅干しでさえも、避けて食べるような人なのに」叔母さんはそう言うと、クスクス笑いました。
「ふ?ん」私は愛想笑いを浮かべました。
「そうしたら、あなたの車が来る気配がしたから、戻ってきたのよ」
「・・・・・・そうなんだ」
「車変えたの? 赤い車だったっけ?」
「え?」
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