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すると最後の方のページに、『研究完成にご協力いただいたみなさん』という欄があって、いくつもの名前が記載されている中の、一番上に、なんか…俺の名前が書いてあった。
それをみつけた俺へ、どうだと言わんばかりに、茜さんはウザがらみしてくる。
うぜぇ…。
「どう? 君には一番お世話になったからね、これで江蓮君にとっても記念になったでしょ? びっくりした? サプラーイズ! ヒャッハー!」
「は、はあ…」
そして…このときの俺は、まだ知らない。
この本が発行されたことがきっかけとなって、またしても俺と茜さんがとんでもない事件に巻き込まれることになるなんて…。
しかしこの話は、今、関係ない。
ちなみに、『研究完成にご協力いただいたみなさん』の一覧の中には、驟雨さんの名前もあった。
ここでまた、年末のカリフォルニア風カフェで、ぼろぼろの茜さんと対話していたときの俺に戻ろう。
現在の茜さんの廃人具合が分かって、茜さんへの怒りは収まった俺だったけれど、他にも尋ねたいことがあった。
それは、俺が去ったあとの烏羽玉島のみんなの様子だ。
茜さんの超絶理論の前に屈服して、自殺することを諦めてくれた驟雨さんは、あのあとどうなったんだろうか?
そんな俺の質問に、茜さんはスラスラと答えてくれた。
俺がいなくなったあとも、茜さんと驟雨さんは、深夜まで色々と話し込んだそうだ。
で、それからまた公民館に戻って、まだ残っていた人々…長岡家当主のお父さんや、霧宮家当主の瑠璃子さん、お医者のおじいさん、ザクロのおばあちゃん、その他、偉い感じの人たちが皆集まって、また話し合いをしたらしい。
茜さんが言うには、一連の事件のことについて驟雨さんを責めたりするような人は、誰もいなかったそうで、さっき驟雨さんは烏羽玉島から消えると言っていたけれど(みんなはあの言葉を、驟雨さんが烏羽玉島から出ていく、と言っている意味だと思っていた)気にすることはない、ずっと烏羽玉島にいたらいいと口々に驟雨さんを説得していた。
だけど驟雨さんの意志は強固で、やはり自分は烏羽玉島を出る、と言い切っていたそうだ。
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