10月13日金曜日

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 こんなカンジで、さっきからわいわいと森田談義で盛り上がっているのに、会話を続けているのは永多と沖ばかりで、五月女はずっと黙ったままだった。  二人の話に耳を傾けてはいるようだが、彼女だけは、ただ深刻な顔をして、ひたすらパソコン画面を注視し、カタカタとキーボードを打ち続けている。  「こんな状況がいつまで続くんだか。  部長だって本当は、一人行動が好きな人だからなぁ、あれから何も言ってこないけど、内心では部長も相当ストレスが溜まっているはずだぞ。  いっそ森田の正体が、隠密行動中の監査人とかだったら良かったのに」  「本店がよこしてきた監査人ですか?  そうですねぇ、産業スパイ説よりは現実的かもしれませんね。  ただ、こないだセンパイが話していた通り、うちと本店は資本の連結があるわけじゃありませんし、可能性は限りなくゼロですけど」  「あああぁあぁーーーっ!!!」  沖がしゃべっている途中、いきなりの絶叫が小会議室内に響き渡った。  永多と沖は、それをきっかけに会話を止めると、絶叫の主…それまで黙っていたはずの五月女の方へ視線を向けた。  二人は特に驚かない、こうやって五月女がいきなり叫びだすのは、まあまあよくあることだったから。  叫んだ勢いで、そのままガタンと立ち上がった五月女は、額に人差し指をあてて、なんとなくポーズのようなものを取ると(永多曰く、それは五月女が何かに閃いたときにするポーズらしい)世界の滅亡を神から告げられた預言者のような深刻な表情で永多を見た。  「エイダァァーー!!」  「はいはい、どうした五月女。  つーか、いつも言ってるけど、オレの名前は、ながた、だから。  ミュージカル口調で白人のヒロインを呼ぶイントネーションで言うなよ」  「エイダ、閃いてしまったわ、分かったのよ、あいつの正体が!」  「センパイ、あいつって、森田くんの正体ですか? 一体何者なんです?」  沖の質問を聞いて、キッとそちらへ視線を変えると、五月女はこくりとうなずいた。  
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