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そんなこんなで、俺のおしゃれカフェ突撃計画は、頓挫しまくっていた。
あらためてお願いすれば、犬彦さんはいっしょに、あのおしゃれカフェに行ってくれるだろう。
でも犬彦さんには、高級レストランでの食事をおねだりしてしまったばかり(結果的にはだけど)なので、ちょっとは時間をおかないと、さすがに申し訳ない。
でもあのカフェに行ってみたいという気持ちは、日々むくむくと膨らんでいくばかりだった。
目をつぶれば、あのブラックボードの美味しそうなイラストたちが、早くおいでと俺を誘う。
うう…とにかく一回、一回でいいから店のなかに入って、実際の店の雰囲気を感じて、フードメニューの味の傾向さえわかれば、きっと満足できるのに…!
俺はまるで、遠足の日を待ち続ける子供のように、ムダにうずうずしながら、悶々としていたのだけど、そんなときに茜さんから、あのメールがきたのだ。
『やあ、江蓮君! 元気にしているかな。
今回はだね、折り入って君に相談したいことがあるんだ。
それで直接君と話ができればと思っている。
オレが君の家の最寄り駅までいくから、どこかでゆっくり食事でもしながら話をする時間をつくって欲しいんだ。
もちろん、食事はオレのおごりだよ!
君の行きたい店を指定してくれ、なんでもいいよ、遠慮はしなくていいからね。
では、良い返事を待っているよ』
きた、絶好のチャンスが!!
茜さんからの、このメールを見たとき、いちばんに脳裏に浮かんだのが、この言葉だった。
遠慮しないで、君の行きたい店を指定してくれって書いてあるんだから、これはもう、あのカフェに行くしかないでしょう!
茜さんは大学生だし、そもそも茜さんの性格からして、おしゃれカフェの入りづらい雰囲気なんてものともしないだろう、ついにあの店に突入するチャンスがきたのだ!
そうしてついに今日、俺はあこがれ続けていた、あのおしゃれカフェのなかにいるのだった。
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