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午後の授業のはじめを告げる予鈴が鳴った。
その音でパチッと意識が戻り、宮の重みから解放された。
ギリギリまでする宮は、いつも予鈴が鳴ると寂しそうな声を出す。
目隠しをしているせいで、表情が読めないけど、僕と一緒にいたいと思ってくれていると思うと、胸が跳ねる。
「あぁ、午後の授業さぼりたいな……。」
僕の服を着せながら、ぼやく宮。
「宮、次はいつ会えるの?」そう言いながら、さりげなく目隠しをはずそうと手を伸ばした。
「……また、連絡する。」
そっと手を置かれ、目隠しを外すのを拒んだ宮は「俺が出てくまで、付けてろっていつもいってるだろ。」握った手と、頬、唇にキスを落とす。
ゲイバーでは、薄暗くて宮の顔はしっかりと見えなかったから、未だに宮の顔は良く知らない。
「じゃまたな。井鍋。」
最後に濃厚なキスをされ、腰が砕けそうになりながら貪るようにキスをした。
フッと笑われ、頭を撫でられ宮の香りが遠くなっていく。
余韻に浸りたい気持ちは、授業開始のチャイムで振り払われ、僕は急いで教室に戻った。
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