漂う嫌悪、彷徨う感情。

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   「家族が真琴に嫌な思いをさせていたなら謝る。申し訳なかった。でも、それでも真琴のした事は許されない。真琴の気持ちが分からなくはないけど、イジメは犯罪だ」  真琴の気持ちを分かってあげられなかった俺らにも非はある。でも、だからと言って『じゃあ仕方がないな』などと言えるわけもない。  「馬鹿な私にだって、イジメは悪い事だという事は分かってた。今でも申し訳なかったって思ってる。美紗に謝らずに中学を卒業してしまった事、後悔した。だからあれ以来、あんな酷い事は誰にもしていない。私なりにちゃんと反省した。  お兄ちゃんが婚約者として美紗を連れて来た時、ビックリしたけど、謝るチャンスだって思った。…だけど美紗、私を見るなり顔色変えて脅えて…。謝る隙さえくれなかったし、あんな風に一方的に悪者にされたら、謝る気なんてなくなるわよ。その上、私が過去にした事を和馬にまで話した。…赦せなかった。真剣に付き合ってたのに。和馬の事、大切に思ってたのに…」  真琴が目を真っ赤にしながら歯を食いしばった。
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