漂う嫌悪、彷徨う感情。

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 「美ー紗-。美紗が謝ると話が抉れる。どうでもいいけど、さっさと謝れよ、真琴!! 当時の真琴の心情を加味しても、どう考えても真琴が悪い。和馬くんとの事だって、自業自得だろ。美紗を逆恨みするな。見当違いも甚だしいぞ」  今日の目的は、ウチの家族への挨拶と、真琴からの謝罪。何故俺が馬鹿にされなければならないんだ。と、話を戻す。  「分かってるよ!! ちゃんと謝るわよ!! じゃないと和馬、私の話を聞いてくれないから。和馬、そういう人だから」  俺が折角話の軌道修正をしたというのに、やっぱり馬鹿な真琴はおかしな方向へ向かってしまう。  「ちゃんと反省しろ!! 和馬くんとよりを戻したいから謝るって何だよ!! 美紗に失礼過ぎる!! 馬鹿か」  『いい加減にしろ』と真琴を窘めると、  「馬鹿なのはお兄ちゃんでしょうが!! 和馬がちゃんと反省しない人間を受け入れるわけないでしょうが!!」  真琴が、和馬の事が前提とは言え、反省の意らしきものを見せた。そして、
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