漂う嫌悪、彷徨う感情。

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 「…美紗。あの時ゴメン。本当にごめんなさい。ごめんなさい」  遂に真琴が美紗に頭を下げた。  真琴の姿に、美紗は安堵したのか小さな息を吐いた。  「真琴ちゃんはまだ、日下さんの事が好きなんだよね? 私、日下さんに話しておくよ。真琴ちゃんが謝ってくれた。反省してるって」  涙目になりながらニッコリ笑う美紗。  「やめて。金輪際、和馬に関わらないで。美紗はお兄ちゃんのお嫁さんになるんでしょ。他の男に近付かないで」  美紗の言葉に、真琴が下げていた頭を振り上げた。  「…え。あ、そうだよね。ごめんね。私なんかが出しゃばる事じゃなかったね。  ねぇ真琴ちゃん。私、今日真琴ちゃんに謝ってもらえて嬉しかった。だから、やっぱり新婚旅行のプレゼントはいらないよ。そこまでしなくていい」  真琴への善意が余計な事だった事態にショックを受けながらも、真琴を赦す気になれただろう美紗は、真琴の善意だけを受け取り、真琴からのプレゼントを辞退した。
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