漂う嫌悪、彷徨う感情。

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 「顔上げてください!! 今日は結婚の挨拶をしにお邪魔したのに、何かおかしな事になってる!! どうしよう、勇太くん!!」  オトンとオカンの前で『やめてください!! やめてください!!』と両手を振ると、『どうにかして』とばかりに俺の名前を呼ぶ美紗。  「だから、新婚旅行は真琴に奢ってもらおうって。それでこの場は収まるんだから」  『美紗が引けばいいの』と美紗の頭を撫でると、  「…じゃあ、プランは真琴ちゃんが練って。真琴ちゃん、プロでしょ? 真琴ちゃんにプランニングして欲しい」  美紗が真琴に美紗らしい提案をした。  美紗は、『おねだり』という行為をする事によって、『気を赦しています』という事を示したかったのだろう。  こういう気遣いが出来る美紗を、愛おしいなと思う。
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