漂う嫌悪、彷徨う感情。

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 「というわけで、未熟者の私たちですが、これからもどうそ宜しくお願いします!! 結婚式にも是非お越しください!!」  美紗と一緒に頭を下げると、  「おめでとう、美紗!! 佐藤さん!!」  小田さんが1番最初に言葉を掛けてくれた。  顔を上げると、何とも言えない顔で拍手をする小田さんと目が合った。  本当は祝福などしていないのかもしれない。  だけど、それでも『おめでとう』と言ってくれた小田さんに感謝しかない。  小田さんにつられて周りも次々に『おめでとう』の言葉を口にする。  「ありがとうございます!!」  美紗と何度もお辞儀する。  上半身を倒した状態で美紗の方を見ると、美紗もこっちを見ていて、  「すっごく嬉しいね。幸せだね。勇太くん」  感極まった笑顔を見せた。  「うん。本当に幸せ」  また、過去の憎悪や嫌悪がふいに顔を出して、俺らを惑わしに来たとしても、俺は揺らぐ事なくこの幸せを守る。  漂う嫌悪、彷徨う感情。  おしまい。
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