彼女たちの過去。

7/17
前へ
/321ページ
次へ
  「大丈夫か? 病院行く?」  プルプル震える美紗の肩を抱くと、美紗は大きく首を左右に振って、ぎゅうっと両目を瞑ると、苦しさを堪える様に拳を胸に押し付けた。 「美紗、ちょっと休もうか。ちょっと美紗、俺の部屋に連れてくわ」  自力ではとても歩けそうにない美紗の腕を自分の肩に回し、美紗の身体をソファーから持ち上げた。 「そうね。具合悪いなら無理しなくて良かったのに……。気を遣わせちゃったのね。ごめんなさいね、美紗ちゃん」  美紗の異変に困惑する両親の横で、 「わざわざデートの時間ずらしてやったのに」  と妹が悪態をつくから、 「オイ、黙れよクソブス」  立ち上がったついでに、上からまた妹の頭をぐっちゃぐちゃに掻き乱してから、美紗を抱きかかえてリビングを出た。
/321ページ

最初のコメントを投稿しよう!

977人が本棚に入れています
本棚に追加