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……暇だ。
暇すぎた。
お義兄ちゃんは、絵本の締め切りに追われて部屋から出て来ないし、
真冬なので海で遊べない。
絵本は沢山あるけれど、全部読んでもらった事があるものばかり。
……仕方ないので、本屋かビデオ屋を探しに行く事にしよう。
そう思って外に出ると、外は優しく雪が降っていた。
しんしんと、優しく。
手に乗せると儚く消えた。
何故か少し寂しくて、私は奪取で街まで走った。
「あっ!」
偶々、浜辺を通って近道していた時だった。ガラスが海水の波に流され丸まった石を見つけた。
空に翳すと、綺麗で宝石みたいで大好きだった石。
青い石を太陽に翳した時、だった。
「誰か、いる?」
奥の岩の上に、女の人が立っている。
海を見ているので、此方からは顔は見えないが、雪が降るこんな寒い日に、コートも無しで、淡いピンクのワンピース姿。
柔らかく、やや茶色のウェーブかかった髪は、腰まで伸びていて、手足は雪の様に白かった。
「あの~」
ゆっくり近づいて、私は女の人に話しかけた。
女の人は振り返えらない。
「あの~! そこ、波も深くて流れも早くて危ないですよ」
そう言うと、女の人はゆっくり振り返った。
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