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「わっ 外人さん!?」
綺麗な緑色の瞳に、色素が薄く鼻は高く、とても綺麗な人だった。
綺麗で、折れそうなぐらい細くて、儚げな、人。
「ありがとう。大丈夫よ」
そう、その外人さんは言うと、煙草の煙を空に吐き出した。
綺麗な儚げな外人さんだったから、煙草が似合わなくて、ちょっと違和感があった。
「でもね、その岩、満ち潮になったら海に潜っちゃうし、お義兄ちゃんのママも溺れた事もあるんだよ??」
涼しげに私の話を軽く流していた外人さんは、ゆっくり私の目を見た。
「知ってるわ。私も此処で足を滑らした子供を助けた事あるのよ」
甘い香りを吐き出して、不適に笑った。
煙草の匂いでは無くて、甘く酔いそうな香りだった。
「貴方こそ、此処は子供は来たら危ないわよ?」
そう言われて、ちょっとムッとしてしまった。
「私はもう14歳なので子供ではありませんけど!?」
「あら、子供じゃない」
クスクス笑われたのが、馬鹿にされた様な気がしてちょっと気分が悪かった。
「――勝手にして下さい!」
私はそのまま、踵を返し、お義兄ちゃんのいる家へと帰った。
クスクス、と、その女の人はずっと笑っていた。
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