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お義兄ちゃんの本当のお母さんは、体が弱くてとても儚げな人だった。お義兄ちゃんを産むのも、本当は危険だったらしい。
「あら、おちびチャン。また来たの?」
お義兄ちゃんの家に居るのが気まずくて、浜辺を散歩してたらまたあの性格の悪い外人がいた。
相変わらず、クスクスと笑って煙草を持っている。
「――本当にそこ、危ないんだからね」
「はいはい」
「お義兄ちゃんのママは、そこで足を滑らせて! ……死んじゃったんだからね!」
優しくて、綺麗な人。
それが写真で見た、お義兄ちゃんのママの印象だった。
お義兄ちゃんは、まだ8歳で若かったらしい。
その10年後に、お父さんが再婚した。
――お義兄ちゃんは、どれだけ傷ついただろうか。
お父さんは、ママを忘れて他の人を好きになったんだ。
そう思って、傷ついたかもしれない。
なのにまたママ達が離婚してしまったら、本当に信じられなくなるだろうな。
人を好きになるの、怖くなるだろうな。
「おちびチャンの癖に、深刻に悩んでるの?」
外人さんは、注意も無視して岩に座り込んで、私を見下ろして笑った。
「はーあ。貴女は悩みなんて無さそうですもんねぇ」
私がチラッと目でやり、イヤミっぽく言ってやった。
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