プロローグ

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忘れられない音色がある。 繊細で、指を鍵盤から離す瞬間、甘く余韻を残す。 強弱の付け方や滑らかに流れる指先。そこから奏でられる曲。 その曲を弾いていたのは、私より二つ年下の綺麗な男の子だった。 その日、会場中を虜にした魅力的な男の子は、テレビで演奏したりするような天才少年。 そうとは知らずに、私の五感すべて奪われた。心を大きく揺さぶられた。 きっと音色と同じく、繊細で綺麗な少年なんだろうなと思うほど。
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