ハルト

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 時計を見た。朝の十一時半。週末は、大手チェーン店の古本屋のバイトに入っていた。その日は、お昼の十二時時から夜の八時まで。もちろん直哉と一緒にである。 「直哉、時間。もう出ないと」 「ほんとだ。ちょっと待って」  直哉はパソコンを閉じると、キッチンへ行ってコップに水を汲んできた。リビングの窓際に置いてある小さな観葉植物に水をやる。直哉が何かを育ててみたいといって買ってきた、ガジュマルとパキラだった。春は何か新しいことを始めたくなる季節なのかもしれない。直哉は小さな葉っぱを右から左から眺めると、嬉しそうにいった。 「なんだか少し大きくなってない?気のせいかな」  俺には違いが全くわからなかった。だけど、直哉が喜びそうな返事をする。 「うん、そうかもしれないね」 「やっぱり?すごいなあ。お世話をするとちゃんと答えてくれてるみたいで、嬉しくなるね」  直哉の髪をくしゃっと撫でた。 「さあ、行こう。店長うるさいから、遅れるとまずいぞ」  直哉は立ち上がると、嬉しそうに俺の首に抱きついてキスをしてきた。 「夜は、健人も大きくしてあげるからね」  可愛い顔でそんなことをいわれると、たまらなくなる。 「もうおっきくなりかけてる」  抱きしめて、キスで直哉の口の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜてやった。
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