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「ねぇ、ゆうくん。なんか家あるよ?」
「海の家って言って店が……」
私はそう彼女に説明しながら彼女の指す方を見たが、それは違った。店ではない。どう見ても一軒家の家だ。海の浜辺に立つ二階建ての一軒家。そして二階の白い横長な布には『ウミの家 Bitch House』と書いてあった。いや、待て。なんかおかしい。
「海ってBeachよね?あれってなんかその……」と有紗は赤面して言う。
「たぶん、スペルの間違いだと思うよ。それにしてもあそこ店なのかな?というかウミって……」
私は興味本位に彼女の手を引っ張ってその門に行く。表札には『販売中』の三文字が書かれていた。
「普通、表札って名前よね?」
「あぁ……」
その時だった。扉から少女が姿を現す。その少女は先ほど見かけた少女だった。そしてなぜかビニールに入れた白い粉を持っていた。
「あれ、麻薬?」と有紗は小声で声を震わせながら耳打ちした。
「んなわけないだろ?」と私は彼女を宥める。
その少女は私たちを見てにこやかに笑ってこう言う。
「いらっしゃりやがれ。どうぞ、中へ入りやがれです」
「……」
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