ウミの家

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私は先ほどの有紗の言葉を思い出す。確か『ウミちゃん』って言ってたよな。ということは……。私は表札の下にあるインターフォンのボタンを鳴らしまくる。 「いませんいませんいません」と言うのが何回も聞こえてくる。 「お前ら、知り合いだったな?」と私はさり気なく言う。 「……やめて。……ウミちゃん、そんなにされたら私……」と有紗の声と誰かの息が荒れる音がインターフォンから聞こえてきた。 あのビッチ、有紗に何かしたな、と思い私は目の前の門を通過し、玄関を開けた。そこにはビキニの上部分を外し、メイド服をウミというビッチに着させられている有紗の姿があった。幼なじみであるが、彼女の裸を幼い頃に一緒に風呂に入った頃以外見たことはなかった。そう、だから彼女の腹の上にあるやや大きな二つのそれを見てたじろいでしまった。見られた有紗はそんな格好であるのにも関わらず私を殴ったり蹴ったりして外に追い出し、鍵を閉めた。 扉の外にいる私にまで聞こえてくるほど大きな声で彼女は泣いていた。その挙げ句の果てに「もう、お嫁に行けない」とまで泣いている。そしてそこで泣かれているのが最悪だった。海の浜辺にいる人たちが私をじろじろと不機嫌そうに見ている。これもどれもあのビッチのせいだ。 「あの……さっきは悪かった。ごめん」と私はインターフォン越しに謝る。 しかしその相手は……。     
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