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「なら、少し反省しろ!!そして中に入れさせろ!!」
私がそう言うと、沈黙が続いた。後ろの視線が怖い。そして遠くから聞き覚えのあるサイレンが聞こえてきそうだ。
「……ねぇ、ゆうくん」
有紗の声がそこから響いてきた。
「言いたかったことがあるの。私、好きな人がいたの。でも……今、ある人に奪われそうになったの」
ちょっと待て。後ろでクスクス笑ってる奴がいるぞ。あの女、何か吹き込んだだろ。彼女が私のこと好きだっていうのを薄々感じていた。私も好きだった。つまり両思いという奴か。そしてこの海の帰りに太陽を見ながら告白するつもりだった。どこかの女さえ邪魔しなければ。
「有紗、お前……花嫁になれないよ。だって……」
インターフォンから含み笑いが聞こえる。
「俺の花嫁なんだから」
その言葉を言い切ったと同時に有紗が玄関を開けて私に飛びついて来た。
「よかったよかった。じゃあ、こちらも手伝ってね。お二人さん?」とウミは言う。
「何が?」と私は聞く。
「告白するために手伝うからここを盛大に盛り上げてくれという約束したの」と有紗。
「なるほど。スペル間違えてるくせに色々とダメだからな。この一軒家……特にウミ。ってか名前は?」
「姫川ウミ。よろしく」
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