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ウミの家
海。それは青い液体に白い波を波立たせる場所。そして女の子がビキニを身に付けてはしゃいでそうな羨ましい光景。子どもたちが砂場で遊んでる光景。そしてそんな人たちが心休める場所として海の家があると思っていた。目の前にある家を見るまでは……。
私は幼なじみの有紗と海に行った。青い海に広がる近くでやはり人は多く来ている。風によって運ばれてくる潮のにおい。そして海の近くで何かをばらまいている麦わら帽子をかぶった白いワンピースの少女がいる。
「ちょっとー、何見てるの?ん?あの子なに撒いてるの?……」
「近く行ってみようか?」
私が歩き出そうとすると止める者がいた。振り向くと、赤いビキニを身に付けた有紗が私の右手を掴んで止めていた。
「どうしたの?」と私は声をかける。
「ごめん。手が勝手に……」
私は彼女が手を繋いで欲しいのだという意味だと思ってそのまま連れて歩こうとした。しかし行く方向にいたはずの少女は消えていた。
「どこいったんだろう?」と有紗。
「近くまで行ってみようか」
私の言葉に軽く頷き、彼女は私の手を繋ぎながら歩いていく。彼女がいた近くまで辿り着いた。斜め方向に歩くと見る景色もまた変わるものである。
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