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「憂真くん!?」
「ふう…。ギリセーフ。大丈夫か?」
「う、うん。だ、大丈夫!ありがとう…!?」
蒼衣の肩を支えたまま、憂真は蒼依に心配そうに声をかける。
憂真の心配する言葉に、慌てて返事をしながらも。自分の肩に初めて感じる男の人の大きく硬い手に、おもわず蒼依の心臓がドキドキ波打った。
「…ご、ごめんなさいっ!?」
「たく…。今回は転ばなかったから良かったけど…。危ないだろ。今度は気を付けるんだぞ。分かったな?」
「はい…。お姉さんも、ごめんなさい。」
そんな蒼依の様子も気づかない様子で、憂真はぶつかってきた男の子に優しく注意をしている。
憂真の注意にその男の子もよく反省したように、改めて蒼依の方を向き直ると丁寧に頭を下げて謝ってきた。
「あ…はい。大丈夫だよ。」
男の子の謝罪の言葉に、蒼依も我に帰ったように慌てて返事を返す。
「よし。もう、行って良いぞ。」
「はい!ありがとうございました!?」
蒼依の返事を確認すると、憂真も納得したように一度首を頷けると男の子に解放の言葉をかける。
そんな憂真の言葉にホッとした表情を浮かべると、男の子はもう一度頭を下げて。少し遠くで様子を見ていた友達の方へとかけて行った。
男の子が元気にかけてくる様子に、友達もホッとした様子で、大きな声で男の子に声をかける。
「早く来いよ!“海”込んじゃうだろ!?急げ!?」
「うん♪」
友達の掛け声に、男の子が大急ぎで駆け寄るのを確認すると改めて楽しそうにおしゃべりをしながら、男の子の友達同士で走り去っていった。
その楽しそうな会話を見送りながら、憂真と蒼依は思いついたように顔を向き合わせると。
「「…海っ!?」」
ほぼ同時に声を合わせ、叫んでいた。
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