episode221 激情

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「ン……アアッ……!九条さん……!」 僕の中にまだ彼が知らない僕がいるように。 当然ながら九条さんの中にもまだ僕の知らない彼がいる。 ここまで狂おしいほどの欲情を この人が理性の中にしまいこんでいたのだとしたら。 それこそ恐るべき色魔は彼であり 僕は掌の上で転がされていただけかもしれない。 さまざまな憶測が頭をめぐる。 「ンア……ッ!アアアッ……!」 禅問答を繰り返す思考に反して 僕の口から飛び出すのは獣じみた声だけになった。 囃していた周りの連中も いまや何かにとり憑かれたように耽る僕らを見つめていた。 九条敬のほとばしる欲情はそれほど激しいものだった。
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