魔王は仲間に出会いたい

魔王は子供だった

「魔王様、お食事の準備が整ってございます」

肌色より紫色に近い酷く年季の入った顔を、魔王様と呼んだものへ向けながら一礼する。

辺りは薄暗い。

染み一つ見つける事のできないキレイな赤いカーペットの上。

その上へ人を模した手のひらサイズの何かを並べていた子供が一礼する白髪の老人へ顔を向けた。

どこからか風が入ったのか、室内の蝋燭が揺れる。

「わかった。今、行くよ」

立ち上がる前に、その並べられた人を模した何かを片付けようとしたのか、魔王と呼ばれた子供は手に取った。

「魔王様。それは……人間、ですかな？」

「そうだよ！ 僕が作った人間なんだ！」

「おやおや。では、そのように丁寧に扱うべきではございません。このように……」

そういうと老人は、顔の表情を一切変えずにその人間を模した何かを踏み潰した。

正確に作っていたのか、中からは赤黒い液体が広がる。

「そうなんだ！ 人間は踏み潰すんだ！ 知らなかったよ！」

「ほっほっほ！ 魔王様。急いで覚える必要はございません。時間は沢山ございます。この爺が死ぬまでお教えいたしますゆえ」

硬かった表情を崩した老人は、部屋の外へ出るようにと手だけで促し、魔王の子はそれに従い部屋の外に出た。