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神様は気まぐれだ。
朝、目が覚めると知らない場所にいた。
寝ぼけていた陽は、一気に目が覚めた。
親もいなければ家もない。
あるのは白い空間だけ。
「え、もしかして死んじゃった……?」
陽にはこんな馬鹿な発想しか思い浮かばなかった。
とりあえず、何も無いのは分かった。
どうするか足りない頭で考えていると
「藤ヶ谷陽。」
彼女の名前を呼ぶ声がした。
声の高さからして男性だろう。
「ど、どなたですか?」
陽が不安そうに尋ねると、男性は、
「私は時を操る神だ。」
「神様?」
ますます不安が高まった陽。
確かに、神々しい雰囲気は纏っている。
半信半疑で、ここはどこか尋ねると、
「異世界への道だ。」
「異世界……?」
「お前は選ばれた。異世界への扉を開き、黒魔術師となるといい。」
彼女は、答える暇もなく眩い光に包まれた。
*
*
「ここは……。」
まだ重たい瞼をゆっくり開けると、周りには草原が広がっており、陽がいたのは1本の木の下だった。
本当に異世界に来てしまったのかと身震いする陽は、ひとまず立ち上がり辺りを見渡した。
すると、服が変わっているのに気がつく。
ショートパンツを履いていたはずが、スカートになっており、上着は丈の長いフード付きのコートになっていた。
「……明らかに厨二病っぽい服装じゃん!」
と嘆く陽。
しかし、今はそれどころではないので、ひとまず後回しだ。
辺りを確認すると、ここから南西に小さく家が見えた気がした。
行く宛が無くては困るので、ひとまずそこへ向かって足を進めた。
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