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俺が大学の時の話。友人というか、知り合いの永田が事故に遭った。
なんでも、夜バイクを走らせている時、運転ミスですっ転んだらしい。暗くなったら滅多に車も通らない道で、(というか、そういう道だからこそ永田はその時間帯を選んで好き勝手飛ばしていたのだが)かなりスピードを出していたから、ひどく危険な状態だったそうだ。救急車が着いた時には、完全に意識がなくなっていたらしい。
「もし後少しでも救急車の到着が遅れていたら、間違いなく意識が戻らないまま死んでたってさ」
友人の吉村がそう教えてくれた。吉村は俺より永田と親しかったから、永田の家族から色々情報が入ってくるらしい。
「でもさ、そんなに人通りがないなら、よく通報してくれた人がいたな」
俺がそう言うと、吉村は「その言葉を待っていました」とばかり身を乗り出してきた。
「それがさ、不思議なんだよ。通報してきたのは女性らしいんだけど、名前を名乗らなかったっていうんだ」
「いや、別にそれだけじゃ不思議じゃないだろう」
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