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雪ちゃんは決心していたんだと思う。僕が教室で飼っているインコとじゃれ合っているときに、雪ちゃんが僕の隣に歩み寄ってきた。けれども僕はあまり気に留めていなかった。雪ちゃんも一緒にインコと遊ぶつもりかと思った。
すると突然、彼女は僕の耳元で「新……」と、か細い声で僕の名前を呼びかけた。いつもは「新ちゃん」と呼んでいるから僕はおかしいと思って彼女の方を振り向いた。
その瞬間、彼女は背伸びをして、目を閉じ、僕の唇に彼女の赤い唇を押し当てた。
それはほんのごくわずかの時間だった。
僕は何が起きたかすぐにわかったけれども、その初めての経験にとてもびっくりして、僕から離れた後の彼女を見ることもできなくて、顔も耳もが真っ赤になっているのが自分でもわかった。
そして彼女の教室を走り去っていく足音だけ聞こえた。足ががくがくと震えて追いかけられなかったし、そもそも追いかける勇気すら持ち合わせてはいなかった。
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