第三章 『女の子っていうものは』

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2  そして僕が専門学校に入ってから、クラス会で彼女と六年ぶりに再会した。  クラス会は学校の近くのレストランを貸し切って行われた。教室でバカ笑いしていた連中が今風な格好をして会を取り仕切っていた。  僕は会場に着くと、それまでクラス会で何回か会っていた友達とまず挨拶をして、雪ちゃんがいないかどうか、見間違ったりしないか気にかけながら探していた。  そして友達と話している彼女を見つけた。  六年ぶりに見た彼女は、雪ちゃんなのは間違いないんだろうけれど、背が伸びていてすらっとして、何より絶世の美女になっていた。色白で仕草も上品、かわいらしくて吸い込まれるような魅力があった。  その瞬間に僕は、もう頭の中が真っ白、思考回路がダメになってしまった。ドキドキして目が合わせられない、っていうか彼女の仕草をみるだけでぐらんと目が回った。  そして彼女は周りの男子にかなりもてはやされていたように記憶している。  雪ちゃんは中学校の頃、決して明るい性格ではなかったのであまり評判が良くなくて、むしろ男子に陰口を言われていたのを僕は知っている。それが美人になっていたものだから、それだけで掌を返したように特別扱いをされていた。  そんな彼女は僕と目が合ったりするし、お互い意識しているのはわかるんだけれど、その周りの現金な男子が邪魔になって結局話しかけることが出来なかった。僕は自分に自信があるわけではなかったし、彼女が僕をどう思っているのかわからないことがとても不安に感じて、この期に及んでも臆病になっていた。  そして会が解散になり皆が散り散りになったとき、雪ちゃんがひとり、レストランの入り口から少し離れたところに立っているのを見つけた。
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