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わたしは、幼い頃からずっと、この島から出たいと思ってきた。 みんなひとつの家族みたいな島民たち。観光客がため息を漏らす島の眺望。 その全てから、わたしは逃れたいと思っていた。 嫌いとか、疎ましいとか、そういうことではない。 わたしはただ、この、小さな〝島〟という社会から抜け出さないことには、自分の人生は始まらないと思っていたのだ。 そして、昴もきっと、わたしと同じような考えだと思っていた。島を出て、広い世界を知りたいと思っていると。 でも違った。 昴は、〝わたし〟という、最も手近で、簡単な手段で〝世界〟を知ろうとしているのだ。 わたしは昴が、自分を彼女として選んだことに失望してしまったのだ。 わたしは瑠璃島港に向かって走り出した。 重いポニーテールが頭を左右に揺らす。 昴が何か叫ぶ声が聞こえたが、わたしは振り向かず、追いつくはずのないフェリーの船尾を見つめながらひたすら走り続けた。
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