嘘で塗り固められた私の日常

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好きな人に褒められたい、 好きな人に必要とされたい、 そんな 不純極まらない気持ちで仕事をし ミスをした自分が情けなくて恥ずかしくて。 自分の 不甲斐なさに 自己嫌悪に陥っていると さっきまで 私の頬を抓っていた手を離し 私の名前を真剣な声色で呼んだ梶くん。 「ぷにぷに」 「は?」 「いやー、ぷにぷにしてて最高の触り心地だったよ。」 「か、梶くん最低っ!女性にそういうこと言うなんてデリカシーなさすぎっ!!」 そう叫びながら 彼の胸元辺りを何度も叩く。 たしかに最近食べ過ぎて 太ったことは自分自身、自覚はしてるよ。 でも だからって わざわざ言葉にして 言わなくてもいいじゃん!! 「ばーか、褒めてんだよ」 「はぁ?今の言葉のどこが褒めてるって言うのよ!」 「はいはい、そこまで。江藤、そろそろ仕事しないと残業になるわよ。」 神部さんに そう言われ我にかえる。 そうだった…… こんなことしてる場合じゃない。 今日は約束があるから 何が何でも定時までに仕事終わらせなきゃ。 「なんだよ江藤。今日の夜、何か用でもあんの?」 「……え?あ、うん。大切な人と約束してるんだ。」 .
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